息子は自閉症スペクトラム

2012年7月に誕生した息子りく(通称)。2014年4月(1歳9ヶ月)に自閉症スペクトラムの疑いが発覚。2016年3月(3歳8ヶ月)に自閉症スペクトラムの診断あり。療育は早ければ早い方がいい。身をもって体験中。

日本では、なぜ超早期発見ができにくいのか

このブログでは、自閉症スペクトラムの超早期療育がなぜよいのかを書いてきました。
超早期療育がなされるためには、超早期発見が不可欠ですが、日本ではそれが難しい状況にあります。

このことを今回記事にしたいと思います。

(ちなみに、ここで言う『超早期発見』とは、0歳から2歳前の自閉スペクトラム症の発見です。
診断やグレイゾーンの子の発見も含みます。)

日本では、佐賀市などのごく一部の地域や重篤な症状を除いて、超早期(0歳から2歳前)に診断し療育を開始することは少ないようです。

自閉症スペクトラムをよく知らない親御さんにとって、子どもの症状に気がつくきっかけになるのが、発語がない、もしくは極端に少ないこと。特に男の子だと言葉が遅いというのが昔からの定説ですので、1歳半検診などで保健師や医師が自閉症スペクトラムの傾向に気が付き伝えたとしても、受け入れられない親御さんも多いようです。

保健師や医師の方も、知識のレベル差があり、自閉症スペクトラムが10ヶ月から2歳前に診断が可能なことを知らない方もいます。特に、1歳半検診を、かかりつけの小児科でするような地域だと、小児科の医師は発達の専門ではないので、よほど意識の高い医師でないかぎり見逃されてしまいます。

私の息子も1歳半検診はかかりつけの小児科で診てもらったのですが、特に問題なしでした。
私が「社会性項目のチェック項目が全て「いいえ」になっているのは問題ないか?」と聞いた所、
発達障害の可能性はなくはないが、まだ小さいので判定はできない。成長とともに、この発達が伸びるお子さんもいる。
地域の療育センターは、言語系と身体の発達が遅れている子どもたちの施設で、明らかに息子さんはその症状ではない」
とのこと。

幸いにも、発達障害を専門としている臨床心理士の友人が息子の症状をおしえてくれて、早期に受入れ、(自分なりの)療育を開始することができました。

一刻も早い療育や受入れが大事なので、個別の小児科などでの検診ではなく、全体検診で、専門知識のある保健師や児童精神科医の検診がされるといいなと願っています。
都心や発達障害に対する先進地域では、全体検診が主流のようですので、ここの課題はクリアされているのかもしれません。

ただ、もう一つの課題があります。

それは、早期療育するプログラムや施設の問題です。専門家から次の声を聞きました。
「検診で自閉症スペクトラムだと疑われる子がわかっても、積極的に伝えづらい。なぜなら、伝えても、自治体が提供する超早期療育の施設やプログラムが存在しないから。伝えるだけで、後は、知らないといった状態では、いたずらに親御さんの気持ちを乱すだけだから、躊躇します」
とのこと。
これは、大きな問題をはらんでいます。

自閉症スペクトラム傾向の子がいるといった数字がなければ、なかなか予算がわりあててられず支援の仕組みが整備できません。
自治体からみれば、乳幼児の自閉症スペクトラムの子がいないのに、施設や支援プログラムを整備しようという気にならないからです。
そのためには診断の数字が必要なのですが、上記のように、施設がないからといって、診断や判定を見送ってしまうケースもがあります。
せっかく超早期発見のチャンスがあったとしても、支援の仕組みなどの受入側の問題で、専門家が様子見をしてしまうことになります。

両者がお互いに作用して、行き詰まり袋小路に入っているケースです。

超早期療育のプログラムのある佐賀市では、保健師のスクーリングを推し進めてもらって実績の数字を作ったと聞きました。
やはり、実績の数字作りのために、専門家が立ち上がらないと、この壁を突き崩すのは難しそうです。

他にも、自治体の全体の予算自体が少なくて、受入の仕組みが作れず悩む専門家もいます。
発達障害者支援法で「障害者支援の仕組みづくりは、各自治体で行う」と定められています。
生まれた場所の自治体の予算差や専門家の有無によって、自閉症スペクトラムの乳幼児に対する支援の格差が大きい、といった現状があるようです。

超早期発見のために、日本に必要なことをまとめると

・1歳半健診では、発達の専門知識がある保健師がスクーリングし、児童精神科医につなぐ仕組みづくり
 ←集団健診が望ましい。
保健師や児童精神科医の超早期発見に関する知識の向上
・超早期療育の整備につなげるために、超早期発見の実績の数字づくり(診断にこだわらず、グレイの子の数字も出していく)
・各自治体に委ねる発達支援の見直し。自治体の情報連携の仕組みや、予算が少ない地域は国が一定の補助

かなぁと思います。

乳幼児期に自閉症スペクトラムの診断や傾向を専門家から受けた方がいらっしゃたら、かなり幸運のケース。
できるだけ早く受け入れ、療育を開始してくださることを願っています。