漢字式教育導入園での様子とABA 〜深追い厳禁〜
前回、年少の息子が石井式漢字教育を導入している園に入園した旨を書きました。
先日、普段の授業風景を参観できる機会がありましたので、レポートしたいと思います。
教室は、ほぼ小学校をイメージするような机や椅子の配置です。
主担当の先生がホワードボードの前にたち、いろいろな教材を使って子どもに見せていきます。
(ちなみに教室名も漢字で書かれていますし、名前の記名も漢字でするように言われています)
まずは、漢字のカードをみせ、漢字をみせながら読みます。
子どもたちはその後について、読みを復唱します。
(漢字まじりの童話の教材があり、それに出てくる漢字をみせていたようです)
その後、ランダムに漢字カードをみせて
「このカードの読みがわかる人〜?」と挙手させます。
殆どの子が手をあげて、正解していきます。
もし間違えても「上手に手を挙げられました。これは〇〇って読みます」
と正しい答えを教えます。
国旗や俳句、ことわざも同じ要領でカードに書かれた文字や絵を見せて、復唱。その後、子どもたちに聞きます。
百玉そろばんでは、そろばんの玉を1つずつ数えながら、数を復唱させたり、10の合成(1と9で10など)を玉を見せながら、復唱させていました。
どのカリキュラムも3分程度で、次の内容にテンポよくうつります。
子どもを飽きさせない構成だなぁと感心しました。
他にも感心を受けたポイントがいくつかありました。
石井式漢字教育では、『立腰教育』を指導しています。(腰骨をたてて)姿勢正しく座ると、臓器が圧迫されなくて身体によいのはもちろん、集中力が養われると言われています。
姿勢が崩れてきた子がいると、すかさず補助の先生が子どもの姿勢を直します。そして、姿勢が戻った子の姿をみて、すかさず主担当の先生が
「〇〇ちゃん、腰骨たてて上手に座れていますね〜」
と褒めるのです。すると、その子はその後もよい姿勢をキープしていました。
私自身姿勢があまりよくないので、息子への姿勢のしつけがおろそかになりがちですし、息子のりくは特性からか身体の軸がしっかりしていなく、くねくねしがちです。
小学生にあがったときに姿勢の件で困っていたかもしれないので、園で姿勢をしつけてくださるのは本当にありがたいことだなぁと感じました。
もう一つは、参観中のお母さんと離れたことで泣いてしまった子(Aちゃん)がいたのですが、その子を泣きやます方法に感銘をうけました。
席についても泣き止む気配がないAちゃんに、先生は触れないで泣かせたままにして授業を続けました。15分ほどずっと泣いていたのですが、声がだんだん小さくなりついに泣き止みました。Aちゃんが授業に参加しはじめたのを見計らって、「Aちゃん、上手に手を挙げられました」と褒めるのです。
泣いている子をある意味無視することは、可哀想だと感じてあやしたりしがちなのですが、一層こじらせて泣き続けたりすることがあると思うのです。
そして、この泣きやませ方は、療育法のABA(応用行動分析学)に似ているなぁと思いました。
ABAでの「問題行動の消去」の方法は、問題行動をしてもメリットを与えないことです。
(消去方法としては、無視(無反応)が一般的ですが、その問題行動の分析をきちんとする必要があります)
①泣く→構ってもらえる(メリット)→さらに泣く
②泣く→無視(メリットなし)→泣き止む
この場合は、ABA的には②を行って問題行動の消去をするのです。そして、授業の参加をしたら「褒める」というメリットを与えて、授業への参加を促しているのです。
授業全体で、良い行動には褒め、良くない行動には無視したり、無言でその行動を正す(姿勢を正すなど)などする姿が多く見受けられました。授業全体が療育なのでは?と感じるほどでした。
またもうひとつ、自閉症スペクトラム傾向がある子にとってよいなぁと感じたものは、具体的なモノで学べる点です。
人よりモノへの関心が高い自閉症スペクトラムの子にとっては、カードなどで目に見える形で教えたほうが分かりやすいです。
息子のりくは小さいころから、カードが好きで、公文のカードやカルタなどの食いつきが良かったです。電車が好きなので、電車のカルタやカードの文章は丸暗記してしまうほどでした。
ですから、カードで書かれた漢字や国旗、百玉そろばんなど「具体物」を使った学習は、彼にとっては得意な世界なようです。
(自閉症スペクトラムの子にかぎらず、幼少期は具体物を使って学んだ方が理解しやすいと言われているので、幼少期にあった指導法だともいえます)
石井式漢字教育の指導法は、自閉症スペクトラムの子にとっては相性のよい指導法なのではと、ますます強く実感をもちました。
また、息子りくに接している中で、問題行動を口で叱ってしまい、さらにぐずったりさせてこじらせてしまうことがあるので、やり方を改めなくてはと振り返りました。
子どもの問題行動は『深追い厳禁』なのだと考えさせられた時間でした。
とはいえ、1年前は団体行動ができるかどうかで悩んでいましたので、椅子に30分間席にすわれて、積極的に挙手している姿は驚くばかりです。息子の頑張りをたくさん褒めてあげようと思います。
ーーー
ABAを学ぶのに役に立った3冊
イラストでわかる ABA実践マニュアル: 発達障害の子のやる気を引き出す行動療法
ーーー
オススメの記事
我が子に自閉症の疑いがあったら、絶対様子をみないでほしい。心からのお願いです。 - 息子は自閉症スペクトラム
発達障がいの子をもつ親が知っておきたい福祉制度について - 息子は自閉症スペクトラム