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息子は自閉症スペクトラム

2012年7月に誕生した息子りく(通称)。2014年4月(1歳9ヶ月)に自閉症スペクトラムの疑いが発覚。2016年3月(3歳8ヶ月)に自閉症スペクトラムの診断あり。療育は早ければ早い方がいい。身をもって体験中。

しつけについて

最近、テンプルグランディンさんの「自閉症感覚「かくれた能力を引きだす方法」を読んでいます。

 

自閉症感覚 かくれた能力を引きだす方法

自閉症感覚 かくれた能力を引きだす方法

  • 作者: テンプルグランディン,Temple Grandin,中尾ゆかり
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2010/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 6人 クリック: 62回
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ご存知の方もいらっしゃると思いますが、著者のテンプルグランディンさんは、動物科学の博士で大学で准教授や動物施設の監査をするかたわら、自閉症スペクトラムについて当事者の視点からさまざまな発信している方です。

 

読後、いくつか気づきがあったのですが、中でも目から鱗だった点は、「しつけ」について。

息子りくを育てるなかで、終始気をつけてきたこと。それは、自閉症スペクトラムの特性による苦手なことやできないことを、否定したり無理強いしないことです。


その方針は間違っていないと思うのですが、少し神経質になりすぎて、行儀の悪い行動などについて、指摘をせずに目をつぶってしまうことも多くありました。

 

例えば、食器で遊び始めたり、姿勢を悪くしたりといった行動を見逃してきたり、りくが食器を落としたり、コップの中身の液体をこぼしても、無言で対処していたりしました。

 

でも、テンプルさんは、しつけをしっかりすべきということと、自身も問題行動を起こしたときには、母親よりおしおき(その日のテレビ禁止)があったという経験を書いています。また順番を守ることを徹底したり、日常生活に障害となるような「こだわり」を発動することを断固拒否したりと厳しくしつけられてきたとも述べています。

テンプルさん自身、昨今の発達障害があるこどもたちが、しつけの面で甘やかされていることに対して、疑問に感じていると書いています。

 

テンプルさんが早期から療育を開始し厳しくしっかり育てられてきたのだと知り、少し驚きました。というのは、好きなこと(彼女の場合は動物)に没頭させ、それ以外のことは特性を配慮して最低限で見守ることが、自閉症スペクトラムがある子どもにとって大事なのだろうと感じ、彼女もそのような接し方をされているのだろうと思い込んでいたのです。

また、りくに何度言っても変わらなかった経験から行儀の悪さを諦めていたり、特性からくる行動を「しつけがなっていない!」という言葉に傷ついたりした経験から、「しつけ」という言葉に苦手意識があったのかもしれません。


でも、「この子は〇〇という特性があるから、行儀の悪さを温かく見守って下さい」とりくに接する人たちに伝え続けることは不可能です。

 

やはり社会に出ていったあとに、りくが困らないように、もう少し「しつけ」について向かい合う必要があると感じました。

 

悩ましいのが、特性的にできないことや難しいことを、どうやってしつけるかということ。

 

例えば、りくは視野が狭く、見えないところのボディイメージがもてないため、机の上にあったコップを倒したり、手前に置いていたスプーンやフォークを落としたりします。

 

このことに対して「気をつけなさい」と言われても、特性的に視野に入っていないので、むずかしいように思えます。そのため、りくには、コップを手元より遠くにおくこと、スプーンやフォークは、机の縁から離して置くようにと伝えました。そうすれば、コップの中身をこぼしたり、スプーンやフォークを落とすことが減ります。

 

また、言葉で何度も言われると、ぐずったり、指示がとおりにくくなるので、りくの手をとってコップを遠くにいっしょにもってたり、「りっちゃん、これはどこに置くの?」とコップを指差したりと、「〇〇しなさい!」という一方的な言い方を避けるようにしました。

 

できたときは、もちろん見逃さずにほめ、「わかってくれてありがとう」と伝えます。

 

ときどき言い忘れたときに、こぼしたり落としたりしますが、本人も自らコップを手元より遠くに置く姿が見受けられたりしているので、浸透しつつあるようです。


もうひとつ難しいのが、どこまでがしつけるべきことで、どこまでが特性で難しいことだから見守るべきなのかという点です。

 

テンプルさんは、本の中でしつけをすべきことと特性を配慮して見守るべきことがらを列挙してくれています。

 

抜粋しておきますね。

いけない行動
 しかられるべきで、自閉症アスペルガー症候群は言い訳になりません

 ・だらしがない食事のマナー。
 ・身なりがだらしなく、髪がぼさぼさ。
 ・先生や親、おとな、仲間に対して不作法な態度をとる。
 ・乱暴な口をきく。
 ・不適切に人を笑う(例/肥満の女性や車椅子に乗っている人などを笑う)。
 ・人前での不適切な性的行為。
 ・家庭や学校、地域社会で癇癪を起こして、おとなをあやつる
 ・おもちゃを盗んで、嘘をついてごまかす。
 ・トランプなどのゲームやスポーツでずるをする。

 

自閉症アスペルガー症候群が原因の問題行動
 妥協が必要な場合があります
 
 ・火災報知器が鳴ったとき耳が痛くて悲鳴をあげる
 ・混雑したスーパーマーケットや商店街、娯楽施設で、感覚に負担がかかりすぎたせいでパニックを起こす。子どもが疲れているときによく見られる。
 ・服を脱ぐ。過度に引っかく。かゆがる。ある種の素材や縫い目、繊維が触れる感触が我慢できない。
 ・蛍光灯の下でやたらと動きまわり、動揺する。蛍光灯のちらつきが気になるため。
 ・字をだらしなく書く。細かい動作のスキル不足がしばしば原因
  (書く代わりに、タイプライターやコンピュータを使わせるとよいでしょう)

 

 

それで、「しつけ」について意識して過ごしてみて、気にしたいなと感じたことがあります。それは、感情的な言い方や言葉は厳禁だということです。怒鳴って「〇〇しなさい!」とか「何でできないの?」などの言葉は、「しつけをする」といった目的に反することで、本人のやる気や自己肯定感を低下させてしまいます。

 

しつけに力が入りすぎると、できないことばかり目について、強く言いたくなる気持ちになったりしました。その感情をぶつけるのは、しつけでではなく八つ当たり。感情をぶつけたくなったら、深呼吸したり、私自身が違う部屋に移動したりして冷却するよう心がけています。

 

別の記事でまとめたいと思いますが、杉山登志郎さんの本に、知的に問題を抱えていない自閉症スペクトラムのある子は虐待にあいやすいと書かれていました。問題行動を「しつけ」だけでなんとかしようとすると、虐待につながりやすい現実があるとのこと。

 

虐待は絶対にしたくありません。

 

まずはりくの良い面に視点をあわせつつ、あせらずに、しつけに取り組んでみます。